鳴海の顔を見た時、私は抵抗するのをやめた。


鳴海、自分で分かってる?
今、凄く悲しそうな顔をしてるよ?

手が震えてるよ?


凄く乱暴な行為なのに。
凄く力弱くて、悲しくなった…。

まるで、サヨナラを告げられたような気持ちなんだ……。


鳴海は私を抱いた後、サッサと服を着て、私に服を投げつけて言った。


「早く着ろよ」


そう言って部屋を出て行く、鳴海の後姿を見ると、又悲しくなって涙が出た。

私は服を着ると、晩御飯を作った。


でも、鳴海はそのまま帰って来なかった……。


ー翌日

哲平から電話が鳴った。


「はい」

「昨日は大丈夫だったか?」

「うん…」

「どうなってるんだ?」

「鳴海が…鳴海さんは会社の事、心配しなくていいって…」


少しの沈黙の後、哲平が言った。


「人から聞いた話だけど、もう時間の問題だって…」

「そう…」


私は驚かなかった。
鳴海の態度を見ていて、悪化している事は薄々感じていたから…。


「俺さぁ…。金の都合をしてもいいよ?」

「…?!」

「昔、誰かに寄付して貰った事があっただろ?凄く助かったんだ。だから…俺も…」