「…そんな事ないよ。東城さんに聞いてみろ。”何か出来る事ない?”って。例えそれが無くても、その言葉だけで男はもっと頑張れるもんなんだからな」

「そっか…。ありがとう」


家に着き、車を降りると哲平が笑って言った。


「落ち着いたら一回ぐらい付き合えよ!前にした約束、まだ忘れてないからな」

「うん」


寂しかった私の心に、哲平から少し元気を貰って、私は家事以外にも鳴海をサポートする決心をした。

何が出来るかは分からないけど…。

鳴海が帰ってきたら話してみよう…。


「ただいま…」

「お帰りなさい」


鳴海は凄く疲れ切った顔をしている…。


「コーヒー入れてくれる?」

「うん…」


私はコーヒーを入れて、鳴海にソッと差し出した。

重い空気に”鳴海をサポートしたい”なんて言い出せない…。

それでも私は重い口を開いてみた。


「…会社はどう?」

「……綾香は気にしなくていいから」


鳴海はそう言ってコーヒーを飲み干すと、私の頭を軽く撫でて、自分の部屋へと戻って行った。