「…綾香はどうしたいんだ?」

「えっ?」


私はパパの言葉にビックリした。
いつも私の気持ちなんて聞かない人なのに…。


「ここに居たいのか?」

「…鳴海さんと頑張ってみる」

「そうか」


パパは少し寂しそうな、不安そうな顔をすると、力強く言った。


「もし倒産したら…今度は本当に連れて帰るからな」


私と鳴海は顔を見合わせて笑った。


きっと鳴海は諦めながらも言ったんだろう…。

一緒に頑張ろうね!


「じゃあ帰るよ」


パパは玄関に向かい、私と鳴海は玄関まで見送る。

玄関まで見送ると、パパは帰り際に言った。


「こんな事になるんなら、あの時反対しなきゃ良かったよ…。大野くんの会社は、まだまだ大きくなる。まぁ、今更だが。二人で出来る限り頑張りなさい」

「…うん」


パパを送り出した時、鳴海の顔が一瞬曇って見えた。

けど、鳴海は笑って言ったんだ。


「暫く迷惑かけるけど宜しくな!」

「うん。高橋さんに色々教えて貰ってて良かった」


私は少しでも家の中を明るくしたくて、一生懸命話したけど、鳴海は上の空だった。

大丈夫だよね?
私と鳴海は……。