「鳴海くんはいるか?!」


私がコクリと頷くと、パパは凄い勢いで家の中に上がり込み、私はその後を追った。


「一体どうなっているんだ?!」

「…?」

「君の会社だよ!」

「…すみません」

「何でそんな大事な事を言わないんだ?!綾香の事はどうするつもりだ?」

「…綾香さんには決して迷惑はかけません」

「どうやって?」

「……」

「綾香を大学に行かせることも出来ない、家は倒産寸前…。こんな状況じゃあ、君に綾香を任せられない。連れて帰る!」


私は何を言っていいのか分からなくなって、
私はただ呆然と鳴海とパパを見ていた……。


鳴海は何も言わなくて、黙って下を向いている。
パパはその姿を見て言った。


「綾香、帰るぞ!」


今のパパには逆らえない…。
言い出したら聞かない人だもの…。

ねぇ鳴海、止めてくれないの?



「待ってください!!」


突然の鳴海の大きな声で、一瞬沈黙になったけど、すぐにパパが答えた。


「無理だ」

「お願いします。必ず幸せにしますから!」


鳴海は深々と頭を下げ、そのまま動かない…。


「もし幸せに出来なかったら?」

「…その時は綾香さんをお返しします…」