「どうやら青藍は限界のようですね。大きなおめめが閉じてしまいそうですよ?」
「ほんとだ~。おめめ、はんぶんになってる。へんなかおだな」

 紫紺が青藍を覗きながら言いました。
 青藍は重い瞼と戦いながら「うー……、あー……」と言い返しています。眠いけどプンプンのようです。

「ふふふ、変な顔なんて言ってはいけませんよ」

 私は思わず笑ってしまう。
 可愛らしい二人をいつまでも見ていたいけれど、そろそろ子どもたちは眠らせなければいけませんね。
 私はゆっくりと立ち上がり、今にも眠ってしまいそうな青藍を抱っこしてあげます。

「あう〜……、あー……」
「遊ぶのはここまでです。寝間にいきましょうね」
「あうあ〜。あい~……ちゅちゅっ」

 青藍は私の腕の中で丸くなって、ちゅちゅちゅっ……指吸いを始めました。
 すっかり眠る体勢ですね。

「紫紺、あなたもそろそろ眠りましょうか。一緒に連れていってあげます」
「んー、オレはだいじょうぶ。まだねむくない」
「いいえ、子どもは寝る時間です。眠るまで一緒にいてあげますから」
「……わかった。それならいく」

 紫紺も納得してくれました。
 添い寝すると紫紺も青藍もぐっすり眠ってくれるのです。

「それでは黒緋様、私は紫紺と青藍を眠らせてきます」
「ああ、頼む」

 黒緋はそう言って見送ってくれましたが、「鶯」とふと呼び止められる。
 振り返ると黒緋と目が合いました。

「紫紺と青藍が眠ったら、次は俺の添い寝をしてくれ」
「黒緋さまっ……」

 甘い注文に顔が熱くなりました。
 でも黒緋はニヤリと笑って続けます。

「添い寝だけで済ますつもりはないが」
「っ……。……あなたこそ、待ってる間に眠ってしまわないように」

 強気に言い返しました。
 すると黒緋が目をぱちくりさせて、次にはおもしろそうに笑いだします。
 そんな黒緋の反応に私は少ししてやったりの気分。私ばかり意識させられて悔しかったので。
 こうして私は紫紺と青藍を眠らせると、黒緋の待つ寝間に入ったのでした。