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「んじゃあ、ありがとな、おっちゃん」

街を後にし、ケンは俺達を見送りに来てくれた男に振り返る。
なんだかんだあれからもゆっくりしてしまい結局長居する形になってしまったけれど。

「なに、また気が向いたら作物の様子でも見に来ておくれよ」

にこやかに話す彼の雰囲気からもやはり根は優しい人なのだろう。
ちょっとでも疑ってしまって申し訳なかったな。
これから先、食には困らないようになるといいんだが。

「それから、君」

男は何かを心配するかのようにレイの方を見る。

「その耳飾りは大事にした方がいい。私がこう言うのも何だが、過去に会った女性は常に何かに狙われているようだったから。昔はそういう代物もなかったからね。命を大切に」

返事こそしなかったが、目だけ合わせると男を背にし先へと歩いて行く。

あの日のことを許したわけではないだろうが彼なりに言葉を受け入れたのだろう。

「それじゃあ、また」

軽く会釈するとコバルト国へ戻るため俺達もレイの後に続いていった。