雲一つない夜空にキラキラと無数の星たちが輝いている。
何も遮るものがないこの村からはその様子が一望できた。

特に今いるこの丘はとっておきの穴場だ。
ここに来ると心の中の濁ったものが全て浄化されていくような気がして、過去のことなんてどうでもよくなって。



心地良い風が吹いている。

草木の音に耳を傾けながら仰向けに寝そべり、しばらく星空を眺める。




そんな穴場を知っているのは俺と、もう一人。


「リース!ここにいたのね」

茶髪のロングヘアを風になびかせながらこちらに駆け寄ってきた女の子。

「もう遅いんだから帰らないと」

時間を忘れてぼうっとしてしまっていたせいか、この子ーールチルが呼びに来てくれたようだ。