「あらぁ、そうなの?
可南子、このぬいぐるみは売り物
じゃないんだって」

え?

「嫌だっ、可南子あのクマさんが
欲しいんだもん!」

「すみません、もしかして娘さんの
お名前はカナコと言うんですか?」

なぜか懐かしさが込み上げる。

「えぇ、可南子ですけど…
どうかなさいましたか?」

「いえ、実はこのぬいぐるみ、
妹のなんです…大切にしていた
妹佳奈子のぬいぐるみ…」

そう言って私はぬいぐるみの
頭を優しく撫でた。