「うっ…」
思わず手で鼻を覆う。
ユリはそのまま風呂場
の戸をそっと開けた。
カチッ
「っ!!…」
そこにあったのは無残な
姿の佳奈子が血だらけで
横たわっていたのだ。
「佳奈子!」
ユリはすぐに佳奈子の
そばに駆け寄ったが
すでに息絶えていた。
「佳奈子…」
泣きながらユリは佳奈子
の半開きの目をそっと、
手で閉じてあげる。
力のない手には赤黒く血で
染まった佳奈子が大切に
していたあのぬいぐるみが
抱かれてあった。
「ユリ…!」
風呂場へおばさんがやって
来た。
「おばさんが…佳奈子を…」
ゴッ
鈍い音がしたかと思うと、
佳奈子を殴った棒がユリの
頭を直撃したのだ。
「おば…さ、ん」
佳奈子ほどではなかったが
ユリが気絶するまで殴り続けた。
「…っ」
気がつくと、辺りは薄暗く肌寒い
風が吹いていた。
「ここは?」
起きあがろうとすると
頭には激痛が走った。
「うっ…」
手で頭を抑えると、ベットリ
と何かがついた。