「ふーん?」
今日はおもしろメークを施すことができないためか、一美はさっきから不機嫌そうだ。

「そうだ。服やメークを教えてくれた一美に面白い話を教えてあげようか」
仕事を続けながら美保は行った。

すると一美はすぐに食いついてきて、パソコンの乗せていた両手を離して体を近づけてくる。

思っていた通り、一美はおもしろいことが大好きなんだろう。
だから昨日みたいなことをしてしまったんだ。

だけど残念。
私には死神がついているから、いつまでもピエロになってあげる気はない。

「この会社って、昔自殺者が出たらしいよ」
「え、なにそれ」

一美が自分の体を抱きしめて震える。
どうやら怖い話は苦手みたいだ。