立っていられなくて、壁に手をついた。
「信じられる? ちょっと考えれば怒られることくらいわかるでしょう?」

「それにあのメーク! 傑作だったなぁ!」
裕之が美保のメークを思い出してまた笑う。

その光景が信じられなくて美保は一歩を踏み出すことができなかった。
ふたりは元々仲が良くて、それで私のことを笑い者にしていたの?

そんなの信じたくない。
信じられない。

だけどドアの向こうの一美と裕之の距離はとても近くて、時折裕之が一美の腰に腕を回している。

それは誰がどう見ても普通の同期という関係ではない雰囲気だった。
ふたりは付き合ってる……?
それでいて私の気持ちを知って笑いものにしていたんだ!

その現実を突きつけられた瞬間、美保は駆け出していた。
悔しい悔しい悔しい!

あんなやつらのために泣きたくなんてないのに、自然と涙が溢れ出してきた。
それはなかなかとまらなくて、美保は更衣室へと駆け込んだのだった。