「なにをぼーっとしている」
「あ、ごめんなさい」

死神がなにか説明をしているというのに、ついその顔に見入ってしまった。
「つまり。ひとつだけ生前の願いを叶えてやれるということだ」

「生前の願い?」

「あぁ。お前のように突然死んだ者にはどうしても未練がつきまとう。なかなか成仏できないヤツが多いから、そのための処置だ」

そんなサービスがあるんだ!
と、目を剥いて驚く。

あの交通事故はどう考えても自分の責任だったけれど、それでもそんないいサービスを受けることができるのだとなんだか感動してしまう。

ううん。
生前の願い。
生前の願い。