首をかしげて質問すると、女性社員が手鏡を取り出して差し出してくれた。
それを受け取り、自分の顔を確認する。

その瞬間、全身がカッと熱くなるのを感じた。
なに、これ!!

服に合わせて少し濃いめのメークをしていることはわかっていた。
それにしても、鏡の中自分はまるでおかめのお面のような顔をしているのだ。

ファンデーションは真っ白で、頬に丸く真っ赤なチーク、口紅も真っ赤で、眉の一部だけがやけに濃く、太くかかれている。

いくらオシャレに疎い自分でも明らかにおかしいとわかるくらいだ。
美保は手鏡を女性社員に突き返すと顔を隠しながら社食を出た。

そのまま走って一番地下い女子トイレに駆け込む。

早く顔を洗ってメークを落としたいのに、こういうときに限ってトイレ待ちをしていたり洗面所で談笑している社員たちの姿があった。