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人の視線から逃げるようにしてどうにか会社へ到着した美保はホッと息を吐き出した。

やっと、到着した……!
普段の通勤路が今日は嘘みたいに遠く感じられた。

「美保、その服やっぱり似合ってるね!」
更衣室へ駆け込もうとしていたら後ろから一美に声をかけられて立ち止まった。

「あ、一美……」
「美保はスタイルがいいから、こういうワンピースが似合うと思ってたんだよね」

一美はマジマジと美保を見つめて納得するように何度も頷いている。
体のラインが出てしまうワンピースは着心地は悪くないけれど、やはり恥ずかしい。

すぐに制服に着替えたい気分だ。
「でもこの上着はいただけない」

一美はそう言うとデニム生地の上着を取り上げてしまった。

上着があったからどうにかここまで来られたのに、それを取り上げられてしまったらもう1歩も外へ出られない!

焦る美保の腕を掴み、一美は女子トイレへと向かったのだった。