不健康なくらい青白い顔に、右手には大きな鎌を持っている。
スーツに大鎌という異質な組み合わせに美保はまばたきをした。

「あなたは誰ですか?」
「俺は死神だ。お前は死んだ」

男がまた同じことを繰り返した。
「私、死んだんだ」

自分の体を見下ろしてつぶやく。
けれど自分の体はほとんど闇の中に解けていて、ほとんど確認することはできなかった。

どうりで交通事故に遭ったのに痛みがないはずだ。
死んでいるのだから当然だった。

死んでからも痛みがあったらどうしようかという悩みは、これでなくなってホッとした。
「そうだ」