そう気がついたときにはもうメークが終わっていた。
鏡の中にいる自分は普段とは別人で、すごく垢抜けて見える。

でも少し色が濃いような気もする。
「もう少し地味でもいいんじゃないかな?」

夜の街を歩くのならこのメークでもいいけれど、基本夜は出歩かない。
仕事も昼間だ。

「なに言ってるの? 地味な美保が変化してるのがいいんじゃん!」
一美は大満足そうな笑顔でそう言った。