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一美の言う気合とは見た目のことだとすぐに気がついた。

仕事終わりに引きずられるようにしてやってきたのは会社近くにあるファッションビルで、その階へ行ってもオシャレな服が並んでいて美保の目がチカチカした。

オフィス街が近いこともあってスーツの種類も多いけれど、そのどれもが垢抜けて見えるものばかりだ。

派手な色のスーツを前にして「すごい」と、立ち止まっていると、「こっちこっち」と、一美に手をひかれる。

そこから先はほとんど一美の独壇場だった。

ファッションのことなんてほとんど知らない美保の体に、次から次へと服を当てて試していく。

試着室に入っている美保に手だけ突き出して服を着るように促してくる。