自分が裕之の連絡先を手に入れることができるなんて……。

自分のデスクへ戻ってきた後も美保はボーッとしてしまって、まるで夢の中に浮いているような気持ちだった。

抱きしめたスマホは体温で熱を帯びているけれど、そんなことも気にならない。

「美保、なにかあったの?」

さすがに美保の態度に気がついた一美に質問されて、美保はさっきの出来事を丁寧に話して聞かせた。

「え、すごいじゃん! じゃあ連絡先交換できたんだ?」
一美の質問にコクコクと何度も頷く。

自分だってまだちょっと信じられない。
自分と裕之との距離はググッと近づいたような気もしている。

いいんだろうか、こんなにスムーズに進展していて。
なんだか怖いような気もしてきた。