ショックで青ざめる美保へ向けて「昨日食堂で隣になったよね」と、裕之の方から話題をふってくれた。

青ざめていた美保は我に返って「は、はい」と、頷く。
覚えていてくれたことが嬉しくて、今度は頬が赤く染まってくる。

好きかもしれない。
気になるだけかも。

そんな風に思っていたけれど、今は完全に好きだと自覚することができている。

なんとなく気になる程度で止まれていたのは、こうして関わり合うことがなかったからみたいだ。

「名前はたしか……」
「橋本です。橋本美保。一応同じ大学でした」

「あぁ、そうだったね! ごめん、俺物覚えが悪くて」