途端に自分の感じたことのない部署の雰囲気に筒こまれて、すぐに居心地が悪くなる。

それでも目だけを動かしてどうにか裕之のデスクを見つけることができた。
でも席を立っているようで、あいにくそこに裕之はいなかった。

ガッカリ半分安堵半分できびすを返して帰ろうとした、そのときだった。
今部屋に入ってきた誰かとぶつかってしまい、「ごめんなさい!」と、慌てて謝る。

「いや、こっちこそごめんね。あ、君は……」
その声に顔を上げると裕之が立っていて美保の呼吸が止まる。

私が今ぶつかったのは裕之だったの!?

もう1度謝ったほういいという気持ちと、連絡先を聞かなきゃという気持ちが入り乱れてアウアウと口をパクパクさせるばかりだ。

そんな美保を見て裕之がふふっと声を出して笑った。
わ、笑われた……。