だからきっと他の人たちはこれくらいのことはしているということなんだろう。

無理やり自分を納得させてトイレを出た美保は、自分の部署とは逆方向へと歩き出した。

廊下を行き交う人たちと顔を合わせるのがなんとなく恥ずかしくてうつむいて歩いている間に裕之のいる部署に到着してしまった。

ずっと開きっぱなしになっているドアからそっと中の様子を確認してみる。

熱心に仕事をしている社員ばかりではなく、ほとんどの社員たちが談笑しながらそこそこに仕事をしている。

土日出勤したから、仕事がないのかもしれない。

ゆるい雰囲気の部署にひとまず胸をなでおろして「失礼しまぁす」と、誰にも聞こえないような声で挨拶をして一歩部屋に踏み入れた。