一美の思惑では食事を一緒にすることで顔を覚えてもらって、その後すぐに会いに行き連絡先を聞き出せばいいと思っていたみたいだ。

でもそんなのは美保にとってかなりハードルが高い。
急に押しかけていって連絡先を交換するなんて、思いもつかないことだった。

「そっか。そうだよね、ごめん」
なぜか一美に謝られてこっちまで申し訳ない気持ちになってしまった。

それから先はいつものように仕事に集中した。
1度やったことのある仕事だから倍速でこなくしていくことができる。

その爽快感もあって気がついたら4時間が過ぎていた。

今日も食堂へ行くだろうかと思いつつ、先にトイレに立った美保はそこに死神が立っているのを見つけて悲鳴を上げてしまいそうになった。

どうにか悲鳴を押しこめて「なんでここにいるの?」と、声を殺して質問した。