それを素直に伝えると一美は驚いたように目を丸くして美保をマジマジと見つめてきた。
まるで天然記念物でも発見したみたいな顔だ。

「それ本気で言ってるの? 連絡交換とかは?」
「してないしてない」

美保は顔の前で手を振って答えた。
そんなことをするタイミングもなかったはずだけれどと、首をかしげる。

「なんだぁ、てっきりあの後高野のいる部署とか行ってみたのかと思ってた」
と、ガッカリした口調で言う。

そっか。
そういうこともしていいのかと、美保は新たな発見に目を白黒させる。

「用事もないのに他の部署へ行くの?」
「行くでしょ! 自分の好きな人がいるんなら!」

そ、そうなんだ。
あまりに大きな声で言われてビクリとしてしまう。