舞い上がるような気持ちで社食を出た美保は大きく息を吐き出した。
満足感のあるため息だ。

今でもまだ心臓はドキドキしているし、普段よりも随分体温が高くなっている。
「会話ができてよかったね」

「うん! 一美のおかげだよ、ありがとう」
「なに言ってるの。さっきのは偶然高野が座ってきたからだよ」

と、一美は苦笑いを浮かべている。
そうだとしても、隣に裕之が座っても美保ならきっとなにも話せずに終わっている。

一美がいてくれたからこそ、裕之に嫌な顔をさせることもなく済んだんだ。
一美に相談して正解だった。

美保は心からそう思ったのだった。