「A定食おいしいですよね」
一美は裕之も同じA定食を運んできたのを見てそう声をかけた。

だけど肝心の美保はそんなことには気が付かなかったし、反応もできなかった。

「うん。焼き魚が好きなんだよね」
派手な見た目に反して日本食が大好きなんだと裕之は笑う。

一美はギャップがいいですねぇ、と何を言っても褒める。
美保はそんなふたりの会話のピンポンを視線で追いかけて頷くだけ。

それでも心の中は満足していた。
裕之と一緒に昼食を食べることができるなんて、思ってもいない大進歩だ!

「じゃ、私達先に失礼します」
先に食べ終えた一美と美保が立ち上がると、裕之は笑顔を返してくれた。

あぁ、まさに天使の笑顔!