そんなことを考えながらぼんやりと歩いていたのが悪かったんだと思う。
いつの間にか美保は横断歩道の真ん中にいた。

信号機はすでに赤に変わっていてあちこちからクラクションが鳴らされる。
「あっ」

これはまずいかも。
そう思ったときにはもう遅かった。

クラクションの音で足を止めてしまった美保のすぐそばに白い車が迫ってきていたのだ。
運転手の男性と視線がぶつかる。

相手は大きく目を見開いて、美保も負けないくらい目を見開いて、次の瞬間美保の意識は途絶えていた。