「アドバイスねぇ」
と、いわれても相手が誰なのかわからないからどうしようもない。

社内恋愛なのかそうじゃないのかだけで対応の仕方は違ってくるものだ。
「その相手って誰なの?」

聞くと美保は耳まで真っ赤になったままでまたうつむいてしまった。
まわりのことを気にしているようだから、相手は社内の人間かもしれない。

そこまで考えた時、一美はハッと感づくものがあってマジマジと美保を見つめた。
この会社には人気男性社員が1人だけいる。

かっこよくてスタイルもよくて、一美や美保と動機だけれどひとりだけずば抜けて昇進している人……。

まさかという気持ちで「もしかして高野さん?」と、小声で聞いてみる。
すると美保は勢いよく顔を上げて今にも泣き出しそうな顔で何度も頷いてきたのだ。

美保が高野さんを!