そう言えば一美に彼氏とか恋愛とかの話を聞いたことがないと思い出す。
入社してから会話するようになったと言っても、ほとんどが仕事に関することばかりだ。

そんな美保から彼氏についての質問をされたので、一美も驚いた顔をしている。
「いい人よ。カッコイイし」

一美の頬が緩むのを見て、本当に好きなんだなぁと思う。
自分もそんな風に誰かに恋をしてみたかった。

いや、一応は裕之に恋しているのかもしれないけれど。
「美保は? 彼氏いるの?」

その質問に美保はうつむいて左右に首を振った。
「そっかぁ。美保、可愛いのにね」