☆☆☆

美保の中で恋愛の相談相手と言えば隣の席の一美だった。

一美は学生時代から美人で有名で、ミスなんちゃらという学校イベントに選ばれたこともある。

そんな一美には色恋沙汰の話が絶えず、経験も豊富そうなことは知っていた。

「おはよう一美」

翌日の日曜日、休日連続出勤を余儀なくされた一美はひどく不機嫌そうで、でも声をかけないわけにもいかなくて美保は小声でそう言った。
「あぁ、おはよう」

ムスッとした表情でパソコン画面を睨みつけているが、画面はまだ立ち上がってきていない。

そもそも電源ボタンを押していないみたいだ。
「一美、電源入ってないよ」