美保はそんな人達の間を縫って駅へと急ぐ。
運良く就職できた。

仕事内容も嫌いじゃない。
でも、それだけ。
それだけしか、ない。

休日でも出勤日でもさして変化のない毎日を送っている美保は自然とため息をつくのがくせになってしまっていた。

なにをしていても特別楽しいという気持ちになれない。
最近の楽しみは自宅でビールを飲みながら泣ける恋愛映画を1人で見ることだった。

誰かと一緒にご飯を食べたり、お酒を飲むようなことはもう長らくしていない。