ここは美保のアパートで、ついでに言うと女性専用アパートで、当然美保は男なんて連れ込んでいないわけで……。

じゃあ、今の男の声は誰のもの?
布団の中でサーッと血の気が引いていく。

このまま貧血になって気絶してしまうんじゃないかと不安になったとき、強引に掛け布団がめくられていた。

突然布団がなくなった驚きと、目の前に出現した死神に驚いて美保は固まってしまう。
「せっかく時間を戻したんだ。早く会社へ行け」

え、あれ。
死神?

ってことはあれは夢じゃなくて現実だった?
混乱する頭で死神をじーっと見つめると、怪訝そうな顔をされてしまった。

「で、でも今日は土曜日だし」
「そう思って会社には出勤するように細工しておいた」