「よく見てみろ」
死神にそう言われ、唾を飲み込んでもう1度視線を上げる。

大鎌の中に映る自分は地面に投げ出されてピクリとも動かない。
私、本当に死んだんだ……。

こうして映像を見せられると恐怖がジワジワと浮かんでくる。
心残りはないに等しいけれど、それでもやっぱり衝撃的だった。

「これから時間は逆回りする。未来は変えられないが、お前は未練をなくすように動く時間が与えられる」

死神が説明している間に、大鎌の中の映像が逆再生されはじめた。
白い車が去っていき、美保が横断歩道を逆に渡っていく。

そしてそれはどんどん加速していき……。
「お前は一週間前に目が覚める。そのとき、また会おう」

映像を見ている間に強いめまいを感じ、美保は横倒しに倒れていた。
死神の声が頭の中にグワングワンと響き渡り、そして意識を手放した。