会話の途中で背筋をピンッと伸ばして笑顔になる一美。

つられるようにして背筋を伸ばした美保が見たのは、上司に連れられて入ってくる外国人社員だった。

紺色のスーツをビシッと着こなし、血色のいい頬がピンク色に染まっている。
背もスラリと高くて顔立ちも整っていて、たしかにカッコイイ。

一美が美保の隣でほぅっとため息を吐き出すのが聞こえてきた。
それくらいカッコイイ。

だけど美保が注目したのはそこではなかった。
その人の顔、しぐさ、背丈。

そのどれもに目が釘付けになり、そして次にはジワリ浮かんできた涙のせいで視界がぼやけていた。

「嘘でしょ……」
小さな声でつぶやいて両手で自分の顔を覆う。