「よし、じゃあこの映像をよく見ろ」
映像?

と、思っていると大鎌に見慣れた景色が浮かんできた。
そこは美保の通勤路で、まさしく交通事故を起こしたあの交差点だったのだ。

美保はゴクリと唾を飲み込んでその映像に見入る。
視線を外したいのに、外すことができない。

映像の中で交差点はオレンジ色に色づいているから、夕方だということがわかる。
青信号に変わった時、仕事終わりの人たちがゾロゾロと交差点をあるき始める。

そんな中、自分の姿が見えて美保は「あっ」と小さくつぶやいた。
これは、今日の自分に違いない。

今着ている服と同じ服を着ている映像内の自分に、心臓がドクドクと早鐘を打ち始めた。
嫌な汗が背中を流れていく。