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最後の日くらいは仕事をさぼってもいいんじゃないか。
そう思わなくもなかったけれど、根が真面目な美保はそうしなかった。

もう二日間も無断で会社を休んでいたし、十分楽しんだ。
だから出勤してすぐに上司に怒られてもひたすら頭を下げて謝ることができた。

「ちょっと美保、どうしたのよ?」

隣の席の一美がわざとらしく心配してきても「ちょっと風邪で寝込んじゃって」と、苦笑いを浮かべることができた。

もう大丈夫。
私の中の心残りは昨日の夜にすべて解消された。

そしていつもどおりパソコンを立ち上げて、最後の1日を過ごすのだった。