それらがあってこそ、好きだと心から思うことができている。
美保は月明かりの差し込む室内でそっと立ち上がり、自分の上着を脱ぎ捨てた。

顕になった真っ白な下着が月明かりによって浮かび上がる。
死神が驚いたように目を丸くする。

美保は顔を赤く染めながらスカートも脱ぎ捨てた。
そんなもの、もう今の自分には必要ないとでもいうように。

「なにを……」
とまどっている死神に近づき、その唇に自分からキスをした。

キスをするのは初めての経験で、触れたかと思うとすぐに離してしまった。
死神の唇は冷たくて、でもふわりと柔かい。

触れた瞬間美保の心臓がドクンッと跳ねた。
「最後のお願い、聞いてくれる?」

美保は死神の首に両手を絡ませて、ささやくように言ったのだった。