もしかしたらこのサービスが死神の仕事のひとつだったのかもしれない。
自分の仕事の出番がなくて困っていたのかも。

「キスなんてとんでもない!」
美保は顔を真っ赤にして左右に首をふる。

キスなんてそれこそ映画の中で起きることだ。
自分の身に起きるなんて考えたことは1度もない。

もちろん、憧れくらいは、あるけれど。
「まぁなんでもいい。それが叶えたい願いだな?」

「はい、まぁ、そうでうね?」
歯切れの悪い美保を無視するかのように死神が大鎌を前に突き出してきた。

ギラリと光る切っ先に思わず後ずさりしてしまう。
大鎌を突きつけられるとさすがに怖い。

まさかこれで首を切ったりしないよね?