その仕草にふいに涙が出そうになった。
恋愛映画は見てきたのに、恋愛は怠ってきた。

だから人気者の裕之なんかに惹かれてしまったんだと、今ならよくわかる。
本当は心から好きなんかじゃなかったんだ。

本当に好きって気持ちは今の、この……。
「で、次はどこへ行きたい?」

死神の言葉に美保は思わずこけてしまいそうになった。

ついさっきまでちょっとしんみりしていた気分はどこへいったのか、死神はすでに切り替えて目を輝かせている。

そんな死神を見ているとつい笑いだしてしまった。
深く思い悩んだし反省している自分がバカらしくなる。

今日は死神にとっても自分にとっても楽しい1日にしたいと思えてくる。