諦めて男たちの言いなりになったほうが早く開放されるかも。
と、絶望的なことを考えたときだった。

不意に鼻ピアスの男の体が大きく空中へ浮かんでそのまま投げ飛ばされていた。

鼻ピアスはさっきのベンチまで吹き飛んで背中を地面に叩きつけて倒れ込んだ。

「え?」

突然の出来事に呆然としていた口ピアスの男も同じように空中へ浮かび、鼻ピアスの男の隣に吹き飛んだ。

背中を嫌というほど打ち付けた男たちは「ぐあっ」と、苦悶の声を上げたのたうち回る。

唖然としてそれを見つめていた美保の手が冷たい手に握られた。
「行くぞ」

死神はそう言いその場から駆け出したのだった。