焦れば焦るほどに声は喉に張り付いて出てこない。
それが恐怖のためであると理解するまでに少し時間がかかった。

その間に男たちは『立入禁止』と書かれた従業員用のドアへ向かって歩いていく。

あそこに連れ込まれたらどうなるかわからない!
スーッと全身から血の気が引いていく。

早く叫ばなきゃ。
早く!

「あっ……あ……」
焦れば焦るほどに声は小さくなっていく。

男たちはニヤニヤした笑みを浮かべて美保を見るばかり。
ジワリと目尻に涙が浮かんで視界が滲んだ。

こんなことになるなんて。
人生最後の日がこんな最低な日なるなんて。