もう思ってモジモジとうつむいていると死神から「どうした?」と、心配そうな声が聞こえてきた。

死神に心配されるなんて情けない。
と思いつつ顔を上げる。

思い切って手をつないで歩きたいと言ってみようか。
明日で死んでしまう命だ。

ここで恥をかいたってきっと誰もなにも思わない。
「あ、あのさ、もしよかったら手をつないでくれない!?」

顔を真赤にして思い切ってそう言った。
断られることが怖くて、思わず目を閉じてしまう。

美保が差し出した手はしばらく空中にとどまり、そして死神に握りしめられていた。

「なんだ、こんなことでいいのか?」
その言葉にパッと目を開くと死神は不思議そうな顔をで、握られた手を見つめていた。

死神の手は相変わらずとても冷たかったけれど、それでも美保の体はポカポカと暖かくなったのだった。