水族館の中を半分ほど見て回った時、不意に死神の手が美保の手に触れた。

それはほんの一瞬で、ただの偶然の出来事で、それなのに美保の心臓がドクンッと大きく跳ねていた。

冷たい指先に触れた左手が熱を持っているように思えて右手で指先をさする。

そういえばこうしているとまるでデートをしているみたいだ。
これで、手でも繋げば……。

って、なに考えてるの!?
相手は死神。

明日には自分の命を奪っていってしまう存在だ。
そんな相手と手をつないで仲良くするなんて考えられないことだ。

と、自分の考えを必死にかき消す。
だけど自分とこの死神はすでに同じベッドで眠ったりしてしまっている。

手をつなぎたいだなんて、今更すぎる気もするが……。