それでも周りの人にその声が届いてしまって、不思議そうな視線を向けられた。
「食べられる魚を食べずに展示するなんて、不思議な場所だな」

死神は心底わからないといった様子で、それでも興味津々に周りを見回している。

観覧車に乗ったときも遊覧船に乗ったときもホテルに泊まったときも、常にそんな顔をしているから疲れないだろうかとこっちが心配になってしまう。

でも、死神にとってはどれもこれもが真新しいことなんだろう。
死神にとって初めての経験をしていると思うと、美保もなんとなく嬉しい気持ちになる。

それから人目を気にしつつ死神に魚の説明をしながら先へ進む。

大きなカニが出てきたときには「うまそうだな」と言うので思わずひとりで吹き出してしまった。

カニは食べる時でも生きているときと同じような姿で出てくるから、おいしそうに見えたみたいだ。