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「ここが水族館か」
死神が大きなゲートを見上げてつぶやく。

まだ早い時間だからかそれほどお客さんの姿は見えなくて、スムーズに見て回ることができそうだ。

美保はここでも一人分のチケットを購入して中へと入っていった。
建物に入ってまず最初に滝のようなものが洗われる。

人工石の隙間から水が流れ出し、滝壺を模した場所に小魚たちが泳いでいる。
ここにいるのは淡水魚たちだ。

背中をキラキラと輝かせてあちこちへ泳ぐ姿はとても愛くるしい。
「この魚は食べられるのか?」

死神に質問されて「食べようと思えば食べられるけれど、ここはそういう場所じゃないよ」と、小声で返事をする。