今日はもう6日目だ。
明日には自分は死んでしまう。

そう思うとさすがに真剣にならざるを得ない。
「水族館」

ポツリとつぶやいた。
この辺には水族館もあり、そこには子供の頃両親と共に行ったことがある。

遠く遠く昔の思い出が、不意に蘇ってきた。
あの頃の美保はまだ小学校3年生くらいで、大きな水槽にとにかく驚きっぱなしだった。

ペタペタと歩くペンギンが可愛くていつまでも見ていたっけ。
「水族館か。昨日食べた魚が泳いでいるような場所だな?」

死神にとっては昨日食べた食料が泳いでいる不思議な場所みたいだ。
「行けばきっと楽しいよ」

美保の言葉に死神は怪訝そうな顔をしながらも頷いたのだった。