その様子を見ていると昼間の出来事なんかもどうでもよくなってくる。
一美と裕之にやられたこともそれに対する復讐も、ほんとうにちっぽけなものだった。

「これを下りたらあのホテルに泊まろう」
不意に死神が指差したのはここらへんでは一番高級だと言われているホテルだ。

あんなホテル一生縁がないと思っていた。
だけどここまで来たんだ。

行ってやろうじゃん。
美保は「もちろん。いいよ」と、頷いたのだった。