え、食べてるの!?
と思ったが右手を伸ばして刺し身を掴むと、そのまま口に入れてしまった。

美保が思わず声を上げてしまいそうになるのを見て死神が「しー」と、人差し指を口の前で立てた。

「他の人から見たら刺し身が勝手に空中に浮いて途中で消えているように見える。声をあげて注目されない方がいい」

なるほどと、妙に納得してしまった。
でも、こうして食べることもできるんだ。

「今まで食事はどうしてたの?」
死神と出会ってから、美保の前で食事をしている姿を見たことがなかった。

もしかしてひとりでいるときになにか食べていたんだろうか。
「俺は食事は必要としない。今回は興味があったからだ」

そう言ってまた刺し身を口に運んでモグモグやっている。