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港の内側をゆらゆらと漂う遊覧船の中には大きなテーブル席がいくつもあって、美保はふたり用の席へ通された。

席といっても椅子はなくて、座敷のようになっている。
人が歩くたびに船がゆらゆらと揺れて、まるでアトラクションに乗っているような気分になってくる。

それから運ばれてきた料理は刺し身や焼き魚など、海鮮ものがメーンになっていた。
「うわぁ。美味しそう」

ここの港で取れた新鮮な魚を口に運ぶとほっぺたが落ちてしまいそうになる。
しっかりと油の乗った魚はどれも美味しくて口の中でトロけて行った。

「うん。確かにうまいな」
見ると美保の横で死神がモグモグと口を動かしている。