怪談師顔負けの勢いで話を終えたとき一美は真っ青な顔がガタガタと震えていた。

もちろん話はデマだけれど、死神が直伝してくれた怖い話の話し方を実践してみたら、本当に怖がってくれたのだ。

「そ、それでただの噂だよね?」
そう質問してくる一美に美保は左右に首を振った。

「本当にあったことだよ。だけど今でもその話はタブーになってるから、ほとんど誰も教えてくれないの。私は偶然、倉庫で昔の記事を見つけてこの事件があったって知ったんだよね」

いかにも本当のことっぽく説明をする。
「だ、だから今はホライト企業なんだ……」

すっかり信じ切ってしまった一美が震えながらつぶやく。

「そうみたいだよ。女性社員が自殺したのはあの窓から。それ以来、時々この部屋では妙なことが起きてるんだって」