(でも先生の言葉に甘える訳にはいかない)

と、自分に言い聞かせた。

(龍司さんに連れて行かれそうになった時、はっきりわかった、私は龍司さんにはもう気持ちはないんだ)
(廉也さんが大好き、でももう廉也さんの側にはいられない、東京に戻れば嫌でも廉也さんの行動や噂が耳に入ってくるから……もう東京には戻りたくない、でも北山先生の気持ちには答えられない、どうしよう、やっぱりここにはいられない)

私は北山先生に全てを話し、ここを出る決心をした。

「先生、お話があります、聞いて頂けますか?」

「もちろんです」

私は深呼吸をしてから話し始めた。

「私、東京に好きな人がいるんです、ある会社の社長さんで、彼も私を好きって言ってくれました、でも私過去の恋愛でトラウマがあって、さっきの龍司さんと付き合っていた時龍司さんは次期社長で、会社役員の方々に結婚を反対されて、別れることになったんです」

先生は黙って私の話に耳を傾けていた。